気候 |
香川県は温暖・少雨のいわゆる瀬戸内海式気候という気候区分にあります。北は瀬戸内海をはさんで中国山地,南は四国山地でさえぎられ,年間を通して雨が少なく,冬は温暖,日照時間は日本一という土地柄です。 香川県は,雨を貯める山が浅く,県内唯一の1級河川の土器川でさえ延長は33kmしかないため,降った雨はすぐに瀬戸内海へ流れ出てしまいます。わずかな雨を少しでも有効に使って,この土地で生き抜こうとした先人たちは,3万とも5万ともいわれるため池を作り,ため池王国香川の風土を築き上げたのです。 どうして雨が少ないか<玉川学園CHatNetセンターお米の学習へ> |
地形 |
香川県は北側に瀬戸内海と,そこに浮かぶ小豆島を代表とする多島群,扇状に広がる讃岐平野には円錐形の茶碗をかぶせたような山が点在し,南は最高峰1056mの竜王山を軸とする讃岐山脈が東西にのびています。 瀬戸内海の深さは20〜40m程度で海底には三豊層と呼ばれる数百万年くらい前の地層広がっています。過去には海底から,底引き網にかかってゾウなどの化石がよく出ました。 海岸は,かつては白砂青松の遠浅の砂浜が広がり,入り浜式から流下式と時代ともに移り変わったものの,広大な塩田風景もありましたが,今ではほとんどが埋め立てられてしまいました。わずかに残った砂浜も,近年の海砂利採掘で砂浜がやせたり,人工海岸化されて見る影もなくなりつつあります。かろうじて観音寺市の有明海岸に,かつての面影を見ることができます。半島・島嶼部は崖が発達しており,花崗岩の採掘場も多く見られます。 平野部には讃岐山脈から南北にいくつかの川が流れ出し,数多くのため池が点在しています。平野のあちこちに点在する山は,基部の花崗岩(領家花崗岩帯)の上に噴出した火山性の岩石が,長い年月をかけて侵食されてできたもので,屋島のような溶岩台地(メサ)や,飯野山のような円錐状孤峰(ビュ−ト)があります。この岩石は,有名なカンカン石と呼ばれる讃岐質安山岩で,音の良いものは五色台や金山付近に分布しています。」 讃岐山脈は,約7000万年前に遠浅の海(台湾やフィリピンあたり?)に堆積した地層が,プレートの働きで運ばれてきて,約100万年前に,その断片が押し上げられてできたものです。それまでは,今の吉野川が池田町で曲がらずに瀬戸内海の流れ込んでいた痕跡もあります。ランドサットの写真を見ると,四国の山がどれも東西に走る断層からできていて,太平洋側からの圧力を見ることができます。また,愛媛県の山に顕著に見られる中央構造線は,目をみはるものがあります。 讃岐山脈の地層は和泉層群とよばれ,砂岩や泥岩が相互にかさなり,アンモナイトをはじめとして貝類や植物の化石も産出します。最近では恐竜の化石も発見されています。 <香川県自然科学館へ> |
植生 |
海中の藻場は壊滅状態だそうで,瀬戸内海の海産物の水揚げ高は激減しています。 観音寺市の有明海岸には海浜植物群が観察できます。 平野部はほとんどが開発され,農地も一年を通して,米や野菜が生産されています。水路はほとんどコンクリート化 され,河川の多くは水が少なく安定した流れがありません。ため池の水生植物も帰化植物が多くなっていますが,オニバスの見られるため池もわずかに残っています。 平野部の神社の森は切り開かれて駐車場になったりして減少しています。低山の林は松枯れが急速に進み,放置された山林は雑木林となりつつあります。琴平山など,低山にある社寺林ではクスやカシなどの大木を中心に,特徴のある林が保存されていますが,そこでも年々林の崩壊が進んでいます。 大滝山には香川県では珍しい樹齢100年を越えるブナが見られ,カエデやヤマザクラなど落葉樹にモミ・ツガなどの常緑樹が混生しています。大川山の山頂付近にはイヌシデの原生林が広がり,一帯は県立大滝大川自然公園に指定されています。 |
海岸部の鳥 |
愛媛県との県境,豊浜町余木崎沖は冬期,カイツブリ類・オオハム類・カモ類が,春秋の渡りのシーズンにはアジサシ類やアカエリヒレアシシギが観察できます。ミズナギドリ類やウミスズメ類も通過していると思われますが,観察し難く,記録はわずかです。 香川県を代表する前浜干潟の三豊海岸(姫浜・花稲海岸),河口干潟の高松市新川河口は,県内有数のシギ・チドリ類の中継地になっています。花稲海岸は,隣の三豊干拓地と合わせて一般的なシギチドリの観察が可能です。このエリアではズグロカモメも少数ですが越冬し,他のカモメ類も数多く観察できます。 島嶼部の断崖ではハヤブサが繁殖しています。 近年,カワウが繁殖を始め,県内の総数は3000を超えています。 |
平野部の鳥 |
平野部のため池・河川 ではカイツブリ・カルガモ・イカルチドリ・イソシギ・バンなどが年間を通して見られます。冬期はカイツブリ類やカモ類が多く見られ,夏季にはオオヨシキリが繁殖したり,アシ原はツバメのねぐらになったりもしています。茂った湿地ではクイナやヒクイナも生息しています。近年,コヨシキリも局所的に繁殖していますが,定着できるところまでには至らないようです。 また,サギ類も多く,1000羽以上のコロニーは分散傾向にありますが,アオサギ・ダイサギ・コサギ・ゴイサギにアマサギの混じる小規模コロニーが点在しています。 田畑・雑木林から都市部の公園では,キジバトやセキレイの仲間,モズ・ホオジロなど一般的な小鳥たちが多く生息しています。冬期,開けた田畑から林縁部ではチョウゲンボウやハイタカ類も観察できます。また,コミミズクやトラフズクも数は少ないですが観察されています。 |
山間部の鳥 |
山間部のダムや谷川などの水辺ではカワガラス・ヤマセミ・キセキレイが観察できます。近年オシドリの越夏も観察され繁殖の可能性も考えられます。少数ですが,アカショウビンやヤイロチョウも繁殖しています。 中腹の林ではカラ類など一般的な林の鳥が観察できます。近年の調査でオオタカも繁殖していることが分かっています。ワシタカ類では,屋島や飯野山,大麻山で高密度でミサゴが繁殖しています。 初夏にはジュウイチやカッコウ・ツツドリの声も聞かれ,ホトトギスは県の鳥にもなっています。 フクロウの仲間では,夏にアオバズクは低山や平地の林で繁殖し,高度の高いところではコノハズクの声も聞こえます。フクロウは県の全域に分布している。 讃岐山脈の山頂部は標高千メートルにもなり,中腹部とはやや異なる鳥相で,ミソサザイやヒガラなどが繁殖しています。近年,大川山では数羽ですが,ゴジュウカラが毎冬定着し,初夏まで姿が見えます。冬期の山頂部はオオマシコやハギマシコ,年によってはイスカなども姿を見せます。なお,イスカは大麻山(標高616m)で繁殖記録があります。 |
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